疾患の病態と治療 リスクの高い病態の対策--産科から
血液型不適合妊娠
堀口 文
1
Fumi Horiguchi
1
1独協医科大学産科婦人科学教室
pp.243-248
発行日 1977年3月10日
Published Date 1977/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205586
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新生児溶血疾患による重症黄疸は数日のうちに核黄疸による新生児死亡や脳性麻痺などをきたすため,産科医にとって最も配慮すべき事柄の一つである。そのうち,とくに血液型不適合に起因する場合は当然その発生が予知されるから,分娩前からの検査や治療が必要となる。最近は交換輸血や光線療法により重症罹患児の発生が減少したが,このような患者は次回の妊娠でくり返し発生する可能性があるため,妊婦やその家族にとって悩みや不安が大きい。また,生児がいない場合や脳性麻痺児をかかえている家庭では,病児のためにもなおさら健康な弟妹を望むものが多く,かといって血液型は変えることができないから,悪条件の組合わせでいかに管理・治療して健児を得るかが産科医に課せられた問題である。
血液型不適合妊娠についての業績や研究発表は枚挙にいとまがないが,このたびは劇症例について,とくに2回以上の妊娠歴にわたっての観察を行なったものについて解説する。
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