特集 産婦人科
今日の焦点・Ⅱ
血液型不適合
白川 光一
1
Koichi Shirakawa
1
1九州大学医学部産婦人科学教室
pp.1071-1081
発行日 1969年12月10日
Published Date 1969/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204135
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はじめに
産婦人科領域における血液型不適合といえば,新生児溶血性疾患(胎児赤芽球症)(以下HDN〈=hemolytic disease of the newborn〉と略記する)につきるといつても過言ではない。そして本症に関しては,その血清学的診断法ならびに生産罹患児に対する治療法はすでに解決されており,現在の研究の焦点は, ①HDNの最劇症型たる水腫型(胎児全身水腫(hydrops fetalis universalis),すなわち交換輸血の対象となりえないものに対する治療法 ②HDN対策上最も根本的な予防法の二つに向けられている現状である。
このうち,①はその事前の予測法とその危険性が予測される場合の対策およびすでに水腫型に進展したものに対する治療法とに分けることができる。したがつて,本稿ではこの3項目について近年の目新しい報告を紹介しつつ解説を試みることとする。
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