特集 輸血のすべて
Part 1 輸血療法のすべて
1.輸血の過去,現在,未来—特集のイントロダクションを兼ねて
松本 雅則
1
Masanori MATSUMOTO
1
1奈良県立医科大学 輸血部・血液内科
pp.1-7
発行日 2024年12月1日
Published Date 2024/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218804090120010001
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
輸血療法は,ある種の臓器移植であり,できれば避けるべきものである。しかし,抗がん薬治療や侵襲の強い手術など,輸血療法なしで現在の医療が成り立たないのも現実である。
歴史的に輸血療法は経験的な治療法として発展してきた。そのため,個人の経験的な判断によって実施されることが多かったが,最近ではできるだけ科学的根拠により行うことが求められている。日本国内においても,科学的根拠に基づくさまざまな輸血ガイドラインが日本輸血・細胞治療学会により作成され,それらをもとに「血液製剤の使用指針」(使用指針)1)と「輸血療法の実施に関する指針」(実施指針)2)が厚生労働省から発出されている。輸血医療を実施する場合は必ず読んでいただきたい。ただし,いまだに輸血医療においては科学的根拠が明らかでないものが存在し,歴史的な経緯を知らないと理解できない部分もある。
今回の特集では,輸血療法の基礎から実践まで,「輸血のすべて」を知ることができるものを目指している。本稿では,この特集号のイントロダクションも兼ねて輸血の過去,現在,未来について私見を交えて記載する。
Copyright © 2024, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.