特集 ICUにおける抗菌薬:new era strategy
❹ antimicrobial de-escalation(ADE)—抗菌薬適正使用の要ADEの考え方・進め方
後藤 崇夫
1
Takao GOTO
1
1東京都立墨東病院 集中治療科
キーワード:
de-escalation
,
antimicrobial de-escalation
,
antimicrobial resistance
Keyword:
de-escalation
,
antimicrobial de-escalation
,
antimicrobial resistance
pp.187-194
発行日 2025年4月1日
Published Date 2025/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.188348330170020187
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はじめに
病原微生物の薬剤耐性antimicrobial resistance(AMR)は世界的な脅威であり,世界で協力して対策に取り組む必要性が強調されている。世界保健機構(WHO)による報告1)では,2050年には癌を超えて世界の死亡原因の第1位となることが予測されている。2015年のWHO総会において「AMRに関するグローバル・アクション・プラン」が採択され,加盟各国に2年以内の自国のアクションプラン策定が求められた。日本においても「薬剤耐性(AMR)アクションプラン(2016-2020)」が策定され,近年(2023-2027)2)として更新された。ここでは6つの目標が掲げられており,その1つに「抗微生物薬の適正使用」がある。不必要な処方を減らすことで薬剤耐性微生物の出現を抑え,医療費を抑制する効果があるとされている。しかし,ICUにおける重症患者を対象とした記載はなく,その使用は現場の判断に委ねられている。
重症患者が多いICUにおいて,抗菌薬の適正使用は容易ではない。本稿では,ICUにおける広域抗菌薬の使用とAMR発生の関連について簡単に述べたあとに,抗菌薬適正使用の要ともなるADE(antimicrobial de-escalation)について,用語定義,世界・日本のICUでの実態,ICUで適応する際の安全性とメリットについて,現時点でのエビデンスをふまえて解説する。また,読者が明日からADEに取り組むための一助になるよう具体的な症例をとおしての解説も行う。

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