特集 酸塩基平衡,電解質異常に挑む
Part 2 酸塩基平衡異常の原因診断を極める
⓫ 代謝性アルカローシスの存在がわかった。では,その原因は?—意識して診療にあたり,隠れた病態を見逃さない
出口 慧人
1
,
玉井 道裕
2
Akihito DEGUCHI
1
,
Michihiro TAMAI
2
1諏訪中央病院 循環器内科
2諏訪中央病院 総合診療科
キーワード:
代謝性アルカローシス
,
発生因子・維持因子
,
鑑別診断
Keyword:
代謝性アルカローシス
,
発生因子・維持因子
,
鑑別診断
pp.81-91
発行日 2025年1月1日
Published Date 2025/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.188348330170010081
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はじめに
代謝性アルカローシスは,[HCO3-]上昇と[H+]の低下(pHの上昇)を認める酸塩基平衡異常である。代謝性アルカローシスは1972年にDonald SeldinとFloyd Recorによって初めて概念化された1)。ここでは細胞外液量を中心にメカニズムが考えられた。いわゆる従来の細胞外液量モデルである。多くの場合はこのモデルに沿って代謝性アルカローシスの原因を突き止めることができるが,細胞外液量の評価が難しいときもある。実臨床では尿中[Cl-]で分類を行うのが有用である。本稿では,代謝性アルカローシスの臨床的な診断および治療介入に役立つようにその病態生理学について解説する。さらに細胞外液量モデルに基づいた一般生理学は重要視しつつ,現実的な診断アプローチについて述べる。
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