Japanese
English
巻頭言
オリンピックと政治的表象:看護との接点から考える
The Olympics and political representation: Considering from the point of view of nursing
麻原 きよみ
1
Kiyomi ASAHARA
1
1大分県立看護科学大学
1Oita University of Nursing and Health Sciences
pp.1-2
発行日 2025年3月20日
Published Date 2025/3/20
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- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
今年は、パリでオリンピック/パラリンピックが開催されました。私たちは連日、選手のプレイに熱狂し、いつもとは違う時間をテレビの前で過ごしました。私たちは、選手のこれまでの血のにじむような努力に思いを馳せ、勝った選手を称賛し、負けた選手についても残念な気持ちを自分のことのように感じました。
オリンピックの精神であるオリンピズムは、2021年版のオリンピック憲章によると「オリンピズムの目的は、人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すことである」としています。フェアネス、そして政治的中立性を理想とする平和の祭典の所以です。しかし、オリンピックは政治の問題と切り離して考えられない歴史があります(p.107)1。戦争により中止を余儀なくされた大会が3回あります(1916年第6回ベルリン大会、1940年第12回東京大会、1944年第13回ロンドン大会)。また、1936年の第11回ベルリン大会では、ヒトラーがナチス・ドイツの宣伝のために大会に多額の予算を投じ、国威発揚の場として利用したとされます。このベルリン大会で初めて聖火リレーが行われたのですが、その下見としてヒトラーが道路と地形を調べさせ、第二次世界大戦においてナチス・ドイツ軍は聖火リレー道を逆方向で侵攻していったとされます。さらに、1972年の第20回ミュンヘンオリンピックではイスラエル人選手とコーチ11名が殺害されるというテロ事件が起こりました。
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