随想
オリンピック やがてさびしき祭りかな
目黒 勝郎
1
1東京都衛生局
pp.106-107
発行日 1965年2月15日
Published Date 1965/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202999
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オリンピック東京大会は,各方面のいろいろな批判はあるが,ともかくも成功であったと思う。ことに,衛生面において,我田引水のようではあるが,成功であった。よく旅行者の家族が聞かされる言葉に,「たよりの無いのが無事の証拠」ということがあるが,オリンピック期間中,ラジオ・新聞に花々しくさまざまな記事報道があったのに,事,衛生に関して何の報道もなかったのは,事件らしい事件が一つもなかった証拠である。この成功は関係者の努力,国民の協力によるのはもちろんであるけれども,この感想を書くに当って,まず申上げたいのは,季節天候に恵まれたことである。
昭和36年(1961年)6月,アテネにおけるIOC総会で「東京大会は10月11日から25日迄」(翌年10月10日から24日迄と訂正)ときまった時に,正直にいって,私はホットした。今度の成功の基礎はこのとき築かれたといっていい。話はさかのぼるが,34年5月に,IOCで東京開催が決定され,組織委員会の下に,競技・輸送・警備・医事衛生等の特別委員会が設置されて,準備活動を開始したが,何よりも先に会期をいつにすろかということが重要なことであった。そこで会期についての小委員会が作られることになり,第1回が35年3月に開かれた。これには組織委事務局側,各競技関係の代表,学識経験者が参画し,私は医事衛生委員でもあり,都の衛生局の代弁者として参加した。
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