予防と臨床のはざまで
東京オリンピック2020
福田 洋
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1順天堂大学大学院医学研究科先端予防医学・健康情報学講座
pp.702
発行日 2021年10月15日
Published Date 2021/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209717
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7月23日から8月8日まで,東京オリンピック2020(新型コロナウイルスの感染拡大で1年延期)が開催されました.前回の東京オリンピックは1964年と私が生まれる前の開催なので,もしかしたら最初で最後になるかもしれない自国開催のオリンピックについて,このコラムでも考察してみたいと思います.
のちに体育の日として制定される10月10日は,1964年のオリンピックの開会式が行われた日でした.実はこの日は両親の結婚記念日です.当時は録画もインターネットもない時代ですので,「開会式の日に結婚式に出席させるなんて,テレビが観られないじゃないか!」と来賓には大いに恨まれたようですが(笑),1964年のオリンピックは戦後の復興や高度成長の証で,紛れもないメモリアルだったのは確かだと思います.一方で,2021年の東京オリンピックはどうでしょうか.招致活動の「お・も・て・な・し」は盛り上がったものの,エンブレムやスタジアムなど種々の問題が噴出し,加えてコロナ禍の大打撃もあり,1年の延期が決まりました.「オリンピックかコロナか」との大論争の中,感染拡大・医療逼迫の状況とぶつかり,直近の世論調査でも7割が開催に反対し,国立競技場前では反対デモが起きるほどの異常な状況下で決行されました.
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