連載 原著・過去の論文から学ぶ・16
Fisher症候群の原著とガングリオシドGQ1b
楠 進
1
1近畿大学
pp.1033-1035
発行日 2025年9月1日
Published Date 2025/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.188160960770091033
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Fisher症候群の原著
Fisher M: An unusual variant of acute idiopathic polyneuritis (syndrome of ophthalmoplegia, ataxia and areflexia). New Engl J Med 255: 57-65, 1956
1956年7月,Harvard大学医学部[MGH(Massachusetts General Hospital)]のMiller Fisherは,眼球運動麻痺,運動失調,腱反射消失を3徴とする3症例を,The New England Journal of Medicineに報告した。これがFisher症候群[Miller Fisher症候群(MFS)]の原著である1)(Fig. 1)。
その論文は9ページにわたるものであるが,病理や画像などのFigureはなく,臨床症状や経過についての小さなTableが2つあるのみで,後はすべて文章であり,3例の報告が主ではあるがそれ以外の関連疾患の症例も含めて詳細な症状や経過が記載されている。そしていまなら考えられないことだが,患者のイニシャルと,MGHの患者については番号(おそらくカルテ番号)も書かれている。今回この論文をあらためて読み返してみてその点に気づき,私も初めての症例報告を行うときに,入院カルテの番号を記載するように指導されたことを思い出した。誠に時代の流れが感じられるところである。

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