巻頭言
戦争とリハビリテーション医療
和田 直樹
1
1群馬大学大学院医学系研究科リハビリテーション医学
pp.683
発行日 2024年8月18日
Published Date 2024/8/18
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- 文献概要
2024年6月にオーストラリアのシドニーで開催された第18回International Society of Physical Medicine and Rehabilitation Medicine(ISPRM)に参加した際に,開会式に引き続いてKeynote lectureとしてウクライナのリハビリテーション科医師のVolodymyr Golyk先生の“Delivering trauma rehab during war violence and forced migration”という講演を聴く機会がありました.
いうまでもなく,ウクライナはロシアの軍事侵攻を受けており,その中で現在進行形として戦時下でリハビリテーション医療を行っています.前線の兵士の間では戦傷による骨折,切断,脊髄損傷,外傷性脳損傷などが圧倒的に増えており,これらは長期にわたる身体的・心理的障害を引き起こす可能性があります.合併症を減らし機能と生活の質を改善するためには,多職種チームによる早期かつ専門的なリハビリテーション治療と長期的なフォローアップが必要であるにもかかわらず,義足,車いすなどの物資の不足はもちろんのこと,いちばん深刻なのはリハビリテーション医療にかかわる人的資源の不足による問題であると述べていました.
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