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教育講座
外傷性脳損傷に対するリハビリテーション治療の過去,現在,未来
The Past, Present and Future of Traumatic Brain Injury Rehabilitation
渡邉 修
1
Shu Watanabe
1
1東京慈恵会医科大学附属第三病院リハビリテーション科
キーワード:
外傷性脳損傷
,
リハビリテーション治療
,
歴史
,
制度
Keyword:
外傷性脳損傷
,
リハビリテーション治療
,
歴史
,
制度
pp.293-300
発行日 2024年4月18日
Published Date 2024/4/18
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はじめに
外傷性脳損傷(traumatic brain injury:TBI)は,総外傷の10〜20%を占め,重症化するほど脳損傷を伴う割合が高くなる1).受傷年齢は,若年層と高齢層にそれぞれピークを有する2峰性を示し,その原因は,若年層では交通事故が,高年齢層では転倒・転落が多くなる.交通事故例は高エネルギー外傷の結果,重症化しやすいが,近年,交通事故は減少し,転倒・転落の占める割合が高くなっている.東京都は,2008年に,都内における高次脳機能障害者の実数調査を行った.その結果,わが国において,TBIの後遺症として高次脳機能障害を呈する例は2018年の時点において約10万人程度が存在すると推定された2).
わが国におけるTBIに対するリハビリテーション治療手技は,2001年,厚生労働省が高次脳機能障害支援モデル事業を開始し,その結果として,2004年に「高次脳機能障害」の診断基準が作成された後から,徐々に発展を遂げた.本稿では,それ以前から欧米の先達が脈々と実践してきたリハビリテーション治療の概念を振り返るとともに,わが国の現在,そして未来に向けた課題を述べたいと思う.

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