特集 日本の周産期事情update—出生コホート研究からわかったこと—Ⅰ
各論
4.妊娠と重金属
諸隈 誠一
1
,
辻 真弓
2
,
山本 緑
3
,
小林 澄貴
4
,
中山 祥嗣
5
S. Morokuma
1
,
M. Tsuji
2
,
M. Yamamoto
3
,
S. Kobayashi
4
,
S. Nakayama
5
1九州大学大学院医学研究院保健学部門
2産業医科大学医学部衛生学
3千葉大学予防医学センター
4北海道大学環境健康科学研究教育センター
5国立環境研究所環境リスク・健康研究センター
pp.27-31
発行日 2020年1月1日
Published Date 2020/1/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001146
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子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)のデータを用いて検討された重金属と妊娠に関する研究結果を紹介する。
・血中カドミウム濃度を四分位範囲に分け,最も濃度が低い群(第1四分位群)に比べて最も濃度が高い群(第4四分位群)では早期早産の頻度が1.9倍高いことがわかった(早期早産22〜33週,後期早産34〜36週,正期産37週〜42週未満)。
・血中カドミウム濃度を四分位範囲に分け,最も濃度が低い群(第1四分位群)に比べて最も濃度が高い群(第4四分位群)では前置胎盤の頻度が2.1倍高いことがわかった。
・男児の出生体重は妊娠中の血中マンガン濃度19μg/lで最も多く,マンガン濃度が低値あるいは高値では出生体重の減少が認められた。妊娠中期(14〜27週)の血中マンガン濃度を測定した群と妊娠後期(28〜40週)の濃度を測定した群に分けて分析を行った結果,妊娠後期の血中マンガン濃度が低値あるいは高値の場合にのみ男児の出生体重の減少が認められ,男児のSGAのオッズ比は,マンガン濃度第3四分位群と比較して第1四分位群で1.4,妊娠後期の第4四分位群で1.6と高かった。
・血中水銀濃度と出生時体格との関連について,出生頭囲との関連が認められた。血中セレン濃度が最も低い群のなかで,血中水銀濃度と出生時体格との関連を調べたところ,血中水銀濃度は出生体重および出生頭囲と関連が認められた。
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