連載 くすりのくすり4
薬に託された思い
鈴木 純一
1
1川越同仁会病院
pp.82-83
発行日 1998年7月15日
Published Date 1998/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689900089
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薬への「もやもや」
私は,精神病院の病棟やデイケアなどで,コミュニティ・ミーティングと称する話し合いの時間を定期的に持っている。このコミュニティ・ミーティングに出席するのは,原則として,その病棟やデイケアの患者全部と,スタッフ全員である。コミュニティ・ミーティングのことを話すのがこの一文の趣旨ではないから詳しくは述べないが,そこでは,いま困っていること,自分の考えていること,頭に思い浮かぶこと,子供のときの体験など,特定の議題をたてずに何でも話し合う。
コミュニティ・ミーティングでは,新しいメンバーが入ってきたとき,まだグループに慣れていないとき,不安が高まるような要素が他にあるときなどに,薬についての質問が私に集中することがある。「私の薬はどこに効くのですか」「薬は一生飲みつづけなければいけないのですか」「薬を飲むとのどが渇くのですが,これは副作用ですか」「薬が効かないから代えてください」などと次々に質問される。
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