特集 精神科治療、この10年で覆った常識とは
“不要な神話”を手放した人たち
—「内因か心因か身体因か」を覆した—ポリヴェーガル理論—「身体」と「こころ/脳」をつなげる日常臨床へ
金井 講治
1
1大阪大学キャンパスライフ健康支援・相談センター
pp.31-34
発行日 2023年1月15日
Published Date 2023/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689201083
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ある精神科医のカミングアウト
はじめにカミングアウトすると、私は対話を治療の中心に据えた臨床を志しているにもかかわらず、「心因」性疾患、いわゆる神経症に対して、「心因」を扱っている感じがもてないまま日常臨床を行ってきた。
それでも、精神科医としての私の関心は心理的要因から精神的変調をきたす当事者(神経症やトラウマ関連障がい等)や、対人関係で困難さのある当事者(パーソナリティ障害等)であり続けた。なぜなら、自身の臨床に納得がいかないながらも、何か次の一手がありそうでならないと感じていたからだ。
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