巻頭言
内因・外因・心因
太田 龍朗
1
1名古屋大学医学部精神医学教室
pp.4-5
発行日 1994年1月15日
Published Date 1994/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903578
- 有料閲覧
- 文献概要
精神科領域における診断分類は,学派や国状によって様々であるが,近年,アメリカ精神医学会のDSMにみられるような構造化された評価法によって行われる診断や分類が多くなり,本邦でもこれらの応用が盛んになりつつある。しかしながら,これらの方式は他科の医療従事者や,ましてや一般の人々に精神の病いを説明するには複雑すぎていささか困難を伴う。その点ではつい先頃まで看護学の教科書などには残っていたヨーロッパ流の原因別分類は理解しやすく,聞く側の言葉で表すことができる点で借り物の感じがなく,説明が素直なものになる。近頃多軸診断的な分類法の中にもintrinsicとかextrinsicといった用語が用いられることがあるのも,こうした状況によるものであるし,古典的な欧風の分類法が見直されている証左でもあろう。
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.