連載 「ゼロ」からはじめるオープンダイアローグ・13
身体が思考する
斎藤 環
1
1筑波大学医学医療系社会精神保健学
pp.450-455
発行日 2022年9月15日
Published Date 2022/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689201046
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なぜ脳については触れないのか
前回は、メタファーがいかに身体性によって基礎づけられているかを、言語学者ジョージ・レイコフらの議論に基づいて検討しました。「上/下」や「内/外」といった表現は、身体感覚から派生した表現(メタファー)なので、身体を持たない存在には理解できないと考えられます。そこから発展して「因果関係」や「受動/能動」の区別など、言語の働きを考える上できわめて重要な要素が、身体に基づいて、身体に根拠づけられていることを見てきました。
今回は、言語と身体のみならず、思考と身体がいかに深く結びついているかについて、検討してみたいと思います。
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