連載 患者さんと社会との接点を整えるシンデレラ・メイク講座・11【最終回】
うつ病と診断されたがん患者さんへのメイク—自己認知と外見の相互関係を活用する
新田 マリア
1
1特定非営利活動法人精神医療サポートセンター訪問看護ステーションいしずえ町田
pp.456-458
発行日 2022年9月15日
Published Date 2022/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689201047
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がんを患いうつ病となったAさん
3年前くらいのことです。当時、地域の60歳以上の方を対象に、「イキイキ健康メイク講座」というシニア向けメイクスクールを開催していました。そこへ、70代前半の女性Aさんが参加され、会場の端のテーブルにつき周囲の様子をうかがっていらっしゃいました。
お聞きすると、「実は、半年ぶりに受診以外で家を出たの……。去年がんになってしまって、それから手術もしたんだけど、体力が弱って、うつ病にもなってしまって」と、ぽつりぽつりとお話をされました。ひきこもり傾向になったAさんを娘さんが心配し、華やかなものに触れたら気持ちが少しは明るくなるのではないかと、「イキイキ健康メイク講座」への申込みをされたとのことでした。Aさんはここ半年ほど洗顔後の保湿だけで、メイクはされていませんでした。
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