レポート
分身ロボット「OriHime」を使ってパニック障害をかかえる利用者が出張活動に行ってみた
中島 裕子
1
1NPO法人BASE
pp.436-441
発行日 2022年9月15日
Published Date 2022/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689201043
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パニック障害とのつきあい方に苦労している細貝さん
就労継続支援B型BaseCamp(以下、ベーキャン)メンバーの細貝さん。独特のユーモアで、いつもみんなを笑顔にしてくれます。細貝さんには外見からはわからない苦労があります。診断名は「パニック障害」。30年前に電車でパニック発作を起こしてから、電車に乗ることが難しくなるなど、予期不安によって行動範囲が狭くなってしまう「広場恐怖症」的な苦労をかかえています。「病と出会った」(細貝さん自身の表現)当初は、病気や障害とは思いもよらず、悪霊の仕業では?そんなふうに考えて霊媒師の元を訪ねてみたり、翌日の現場仕事に備えて、駅間の短い各駅停車で移動し、自腹でカプセルホテルに前泊したりと、とにかく必死でした。それでも状況の改善は見られず、いよいよ仕事は続けられなくなりました。
退職時に上司に事情を打ち明けたところ、「パニック障害かもしれないから病院行ってみな」と言われ、半信半疑ながらもとにかく受診。診断がついたときは、自分と同じような苦労をかかえる人が他にもいるとはびっくり。そして、「病気なら、薬飲んでれば良くなるんだろうな」と前向きな気持ちの方が強かったそうです。ところが、細貝さんの波瀾万丈はその後も続きます。電車に乗らずに働ける職場をようやく見つけたと思ったら、会社が倒産。人間関係の問題も重なって、精神科へ入院することに。退院してからは、ひきこもり状態となりました。
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