コンタクトレンズ(13)
大阪出張所の整備
長谷川 泉
pp.33
発行日 1960年5月10日
Published Date 1960/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202089
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中央集権の時代には,政治や文化の中心にすべてが集中し,文字通り草木もなびく状態が現出される.そのセンターをよそにしてはすべての機能は麻痺してしまうというわけである.日本の現在の政治機構における東京の位置がそれに当たる.諸官庁は東京に集中し,東京もうでをしなければ,あらゆる政治の歯車が動かないということになる.そのようなかなめというものはたしかに必要であろう.しかしまた一方,そのかなめだけあれば,それでよいといつたものではなかろう.首都のような中央のかなめは,それなりの機構を果たすとしても,地方地方には,それぞれの特色もあるし,またそれぞれの地方なりの小センターが存在し,それぞれの意義を持つて然るべきである.そのおのおのが所見を得ることが必要である.
アメリカが日本を占領していた時にまつ先に手をつけたことは集中排除の考え方であつた.それは,軍国主義の芽をもつみ取つてしまうような政策的な意図があつたかもしれないが,あまりに1つの権威に集約されて,個の活力が殺されてしまうことに対する一種の民主主義的考え方の理念に基づくものであつたこともたしかである.大学といえば東大だけ,大病院もすべて東京にといつた点は改められて,それぞれの地方色を生かし,それぞれの個性を持つた機能が,それなりの活動をするようにと再編成されたのである.
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