連載 MSEを穴埋め式問題で練習してみよう・7
慢性期統合失調症のケース
小野 悟
1
,
武藤 教志
2
1公益社団法人岐阜病院
2宝塚市立病院
pp.506-513
発行日 2019年9月15日
Published Date 2019/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200668
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慢性期統合失調症におけるMSEの視点
今回は慢性期の統合失調症の患者Aさんについて、どのようにMSEを用いてアセスメントし、看護記録を書くのかについて考えていきましょう。みなさんも臨床において慢性期の患者さんの日常生活行動を観察し、いざ記録をしようと電子カルテや看護記録用紙に向かうと、「……あれっ? 書くことがない! 何を話したっけ?」と感じられた経験はないでしょうか?
実は私もそういった経験がありました。これまでの連載のように救急病棟や急性期病棟などでの記録の際には、興奮や幻覚、妄想、意欲亢進などの陽性症状に関連したさまざまなエピソードがあり、記録に困ることは稀でした。しかし、長期入院や慢性期においては観察するポイントが“問題行動や陽性症状のある・なし”に限定されてしまい、何を観察するのかが曖昧になってしまったり、ミーティングでも話題に上ることがなかったりして、積極的にかかわって情報収集しようとする意識が薄れてしまうことがあります。さらにADLが自立しているとなると、どう介入してよいのかが見えなくなってしまうことがあります。
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