REPORT
発達障害なのに、統合失調症と誤診されているケースがある
根來 秀樹
1
1奈良教育大学教育学部障害児医学分野
pp.46-48
発行日 2014年3月15日
Published Date 2014/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689101289
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目の前にいる青年期の患者さんが、「イジメられている、悪口が聞こえる」と興奮して訴える時、私たち精神医療に従事する者はそれが事実かどうか確かめるだろう。そして家族などからの情報で、現在イジメを受けている事実や悪口を言われているような事実がないとすれば、「幻覚妄想状態」と判断されるのは自然なことかもしれない。幻覚妄想を呈する精神疾患は覚醒剤精神病や気分障害に伴うものもあるし、身体疾患に伴うものもあるが、それらが状況的に否定されれば、このような症例は好発年齢などからも「統合失調症」と診断されることが多いのではないだろうか。
しかしその患者さんは、実は統合失調症ではない可能性がある。現在そのことに警鐘が鳴らされるようになった★1。
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