連載 わかるようでわからない精神科のコトバ・5
統合失調症
風野 春樹
pp.664-665
発行日 2002年7月1日
Published Date 2002/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904005
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想像してみてください.もし,何かの拍子に,「自分」と「そうでないもの」の区別をつけられなくなってしまったとしたら,あなたはどんなふうに感じるでしょうか.
普通なら,「自分」と「そうでないもの」の間は目に見えない膜のようなもので隔てられていてこっちゃになるということはありえません.私たちは,目の前のコップが自分ではないことを知っているし,今思い浮かべている考えは果たして自分の考えだろうか,と疑問を持つこともありません.ところが,その見えない膜に穴があいて,「自分」が膜の外に流出してしまったとしたら.
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