特別記事 「痛み」をめぐる最新医療情報(前編)
痛みを数値化できることによる臨床の可能性—知覚・痛覚定量分析装置「PainVision」の紹介
花岡 一雄
1,2
1JR東京総合病院
2東京大学
pp.190-193
発行日 2018年3月15日
Published Date 2018/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200460
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痛みの世界も客観化へ
患者さんを診察する時には、通常、バイタルサインとして血圧、脈拍、呼吸数、体温が用いられているが、それらに続く第5のバイタルサインとして、近年「痛み」の評価が注目されている。しかしながら痛みは患者さん自身にしかわからない主観的な感覚であるために、客観的に把握することはこれまで難しかった。
痛みの程度を計測する評価方法として広く使用されてきたビジュアル・アナログ・スケール(VAS:Visual Analogue Scale)は、紙の上に10cmの線を引いて、左端に0(全く痛みなし)、右端に100(想像するに一番強い痛み)と書き、患者さんに現在の痛みに相当するのは0〜100の間でどのあたりになるのかを指し示してもらうことによって、痛みを評価するものである。これは患者さん個人の主観的な痛みの程度を知ったり、痛みの経時的変化を観察するには威力を発揮するが、あくまで主観の域を脱することはできないツールであった。
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