特集 打つ手なしの行きづまり事例が、当事者研究で変化する
—実践報告2—「悩み」から「研究テーマ」へ。仲間と研究すればなんとかなる!—幻覚・妄想を“聞く”という行為が、病状やQOLに悪影響を及ぼすことはない
澤口 篤
1
,
今川 菜美子
1
1医療法人風のすずらん会江別すずらん病院
pp.208-213
発行日 2017年5月15日
Published Date 2017/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200351
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当事者研究を知ったきっかけ(澤口)
私は今から14年ほど前に、浦河べてるの家を知りました。医療職とはかけ離れた仕事をしていたのですが、20代後半の遅いモラトリアムで、自分の人生はこのままでいいのかと生き方を模索していた頃です。
母にべてるの家の本を勧められ、関連の本を数冊借りて読みました。「これは面白い! べてるに行ってみたい!」という衝動にかられ、さっそく浦河町に住む友人に連絡をして、「べてるって知ってる?」と聞くと「有名だよ。自分の家族がソーシャルワーカーの向谷地さんにお世話になってるんだ」と言うので紹介してもらいました。そんなご縁で向谷地さんとつながることができ、べてるの家や日赤病院精神科デイケアで3日間、メンバーと活動を共にさせていただきました。そこでは今まで体験したことのない安心感や居心地のよさを感じ、自分のダメな人生も捨てたもんじゃないと思うことができました。
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