特集 せん妄・妄想・幻覚へのアプローチ
せん妄・妄想・幻覚の見分け方
佐藤 武
1
Takeshi Satou
1
1佐賀大学保健管理センター
キーワード:
骨折
,
せん妄
,
入院期間の延長
Keyword:
骨折
,
せん妄
,
入院期間の延長
pp.833-837
発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101034
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せん妄・妄想・幻覚とはどんな症状か?
せん妄とは,認知,気分,注意,覚醒および意識に関する動揺性の障害を特徴とし,以前に知的障害がなくとも,身体疾患を基盤として脳の機能不全が生じ,急性に発症する状態である.せん妄は急性錯乱状態と同義語として使われ,活動亢進のある混乱した状態という意味で使用されることもある.一般に,軽度の意識障害に伴って精神運動興奮がみられ,幻覚(主に幻視),錯覚,不安などを呈する.一見すると痴呆のようにみえるが,症状が動揺する,夜間に増悪する,発症が急である,などが特徴である.意識混濁があり,注意散漫であり,注意を払うのが困難である.周囲からの情報を正確に理解したり解釈したりすることや,新しい情報を獲得したり記憶することも困難である.このような状態では,事実に基づく情報を誤って解釈し,錯覚を起こすことがある.結果として,論理的に思考することはできず,象徴的な質問(例:算数,ことわざの説明など)に答えることもできず,不安になって動揺し,周囲から身を引いたり,偏執的で妄想的に考えたりする場合もある.
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