連載 就労移行って何だ?・6【最終回】
健常と障害の境目で—「分離」じゃなくて「交わる」こと
引地 達也
1,2
1就労移行支援シャロームネットワーク
2ケアメディア推進プロジェクト
pp.598-599
発行日 2016年11月15日
Published Date 2016/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200298
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手帳の重み
「健常者になりたいんです」—私の目の前で悲痛に声を落とす中年男性は、精神障害者手帳を自治体に返還したいと訴えた。手帳のせいで自分は「障害者」と決めつけられていて、手帳さえなければ一般の人と同じように就職できるはずだ、と思い込んでいる。彼と日々接している私としては、精神状態の浮き沈みに対して配慮のない一般枠の就職は難しいと感じざるを得ない。周囲の理解と丁寧な支援がなければ、就労定着もままならないだろう。だから発想の転換を促してみる。
「障害者手帳をDVDレンタルの会員証だと思いましょう。使いたい時に使える権利を得ているカードです」。さらに大きなイメージも言い添える。
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