連載 武井麻子のOh!それみ〜よ・4
『火星の人類学者』『自閉症の脳を読み解く』—障害のもつ「創造的な力」
武井 麻子
1
1日本赤十字看護大学
pp.195-198
発行日 2016年3月15日
Published Date 2016/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200212
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世界で最も有名な自閉症者
「自閉症」という障害が広く一般に知れわたったきっかけといえば、なんといっても映画『レインマン』だろう。だが、この映画が描こうとしたのは自閉症という障害ではなく、重度の自閉症のため長く施設に入所していた兄(ダスティン・ホフマン)と、父の遺産目当てにその存在すら知らなかった兄を施設から連れ出す弟(トム・クルーズ)との関係の変化の物語である。この映画はアカデミー主演男優賞など、数々の賞を受賞した。
ただ、今回紹介するのはこの映画ではない(いずれ機会があれば、紹介しようと思うが)。自閉症を抱えながら動物学の博士号を取り、現在はコロラド州立大学教授として活躍する実在の女性、テンプル・グランディンである。彼女は最も社会的に成功した自閉症者と言われている。
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