連載 ケアする人こそやってみよう当事者研究・2
「多汗現象」の研究—困った存在から健気な親友へ
小松 詩織
1
1帯広協会病院(消化器内科病棟)
pp.578-584
発行日 2015年11月15日
Published Date 2015/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200153
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研究の動機
私は小さい時から汗っかきでした。それは新陳代謝がいいせいだとずっと考えていました。今でも緊張したり焦ったりした時に汗をかきますが、当事者研究に出会うまではすべて暑いせいだ、と思っていました。私の汗は顔面から噴き出してくるタイプなので、汗をかくと周りの人にすぐにわかってしまいます。幼少期から汗をかいて、周りの人に「大丈夫?」と声をかけてもらったりするたびに、恥ずかしい気持ちになりました。そのため、私にとって汗は“困った存在”でした。
ある人に怒られた時に、頭が真っ白になって汗を大量にかき、立っていられなくなって倒れたことがありました。その時はたまたま倒れたんだと思いましたが、その現象は続き、看護学校3年間の臨床実習のたびに、指導を受けると汗をかいて倒れました。私は学校を休まず体力にも自信があったので、自分が実習中に倒れるなんてと思い、自分を情けなく思っていました。そのため、多汗を治そうと思ってさまざまな努力をしました。首に冷たいタオルを巻いてみたり、緊張を止める漢方を飲んでみたり、脱水を防ぐためポカリスエットを飲んでみたりしました。しかし倒れることは防止できませんでした。
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