特集 自分を傷つける行為が止まらない人―医療者はどう捉え、かかわればいいのか
—(関連研究)—女性の薬物依存症者がかかえるトラウマの問題と、それに対する援助
森田 展彰
1
1筑波大学医学医療系社会精神保健学
pp.562-567
発行日 2015年11月15日
Published Date 2015/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200149
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はじめに
薬物使用障害は、薬物使用をやめなければと思いながらもやめられない病態であり、覚せい剤等の薬物使用で収監されても約半数が再犯してしまうことが報告されている。薬物が自分の心身や人生を破壊することがわかっていてもやめられないことから、依存症は慢性の自殺とも言われる。やめられない理由は、離脱症状および生活・対人関係の問題や過去のトラウマのつらさを薬物で解消する条件付け等がある。
特に女性の場合には、過去の被害体験に関連する感情的不安定性や危ない異性関係、子育ての問題等があり、その回復支援においては男性と異なる配慮が必要であることが指摘されている*1。そこで筆者は覚せい剤使用者の再発リスクおよび認知行動療法プログラムの効果に関する男女差を研究した。本稿ではその結果から、特に女性薬物依存症者の心理の特徴を示し、主にトラウマの観点から回復支援のポイントについてまとめる。
なお、今回の報告は、中間報告であり、本論のテーマである依存症者の男女の違いの例を示すために概要のみを示す。
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