特集 自分を傷つける行為が止まらない人―医療者はどう捉え、かかわればいいのか
自傷をとりあえずしのぐための認知行動療法における「応急処置」
伊藤 絵美
1
1洗足ストレスコーピング・サポートオフィス
pp.550-556
発行日 2015年11月15日
Published Date 2015/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200147
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長期戦は織り込み済み
筆者は認知行動療法(CBT)を専門とする民間カウンセリング機関を運営する臨床心理士である。当機関のケースの約8割が精神科等の医療機関からの紹介であり、通常治療では寛解に至らないケースが紹介されてくる。また、電話での申し込みからインテーク面接までの間が4か月以上かかってしまうという現状から、それだけ待ってもよいという人しか来ず、慢性化したケース、難治性のケース、再発を繰り返しているケース、複雑性トラウマをかかえるケース、パーソナリティ障害や発達障害を併存するケースなど、長期にわたってセラピーを提供する必要のあるケースが圧倒的に多い。
CBTは比較的短期で終結する問題解決型の心理療法だと一般的には思われているが、慢性化した複雑な問題をかかえるクライアントと共に行う場合、当機関においては最初からある程度長期の経過を想定することが多い。
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