特集 地域医療のトピック―「救急医療」を考えよう
応急処置とグッドサマリタン法
橋本 雄太郎
1
1杏林大学総合政策学部
pp.557-559
発行日 2005年7月1日
Published Date 2005/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100764
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これまで,わが国において,傷病者の傍にいながら手当をしない人が比較的多く見られていた.そこで,その理由を探るために,なぜそれらの人は手をこまねいているのか,ということに関する意識調査が行われている.その一つである,交通事故の現場で,一般市民による応急手当が積極的に行われていない原因を調べるために,平成9年に実施された内閣総理大臣官房広報室の世論調査によれば,「傷病者のそばにいながら手当をしない人はなぜ手をこまねいているのか」という質問に対して,「手当の方法がわからないから」と回答した人が73.3%,「手当をした結果,かえって症状が悪化したりすると,責任を問われかねないから」と回答した人が36.2%という結果(複数回答可)になっている.
また,平成15年に東京消防庁が行った「応急手当をしない理由」を尋ねた世論調査においても,「何をしてよいかわからないから」84.1%,「かえって悪化させることが心配だから」59.1%,「誤った応急手当をして責任を問われるのが心配だから」20.5%,という結果(複数回答可)が出ている.これらの調査結果を見ると,まず,一般市民に対する応急手当の知識と技量の普及が必要であり,応急手当の普及啓発促進も重要な施策であることが判明する.
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