連載 中動態の世界・3
「する/される」から「内/外」へ
國分 功一郎
1
1高崎経済大学
pp.97-105
発行日 2014年5月15日
Published Date 2014/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689101330
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[要旨]
◎能動にも受動にも収まらないものとして中動態を扱うやり方は、この態を神秘化するだけである。そこから抜け出すべく言語学から「主語の被作用性」という定義が提案されたが、それもまた「する/される」というパースペクティヴの外には出られない。
◎言語学者バンヴェニストは、中動態の分析において、「する/される」ではなく「主語がその過程の内にあるか外にあるか」に注目した。つまり、主語がその過程の「座」になるものが中動態である。
◎能動態と受動態が対立する「する/される」の世界では、《意志》が前面にせり出している。しかし、能動態と中動態が対立する「内/外」の世界では、《意志》は、そして《主体》という概念もまた背景に退いていく。
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