特集 実践知の学びを再考する“わざ言語”
「わざ言語」という問い
生田 久美子
1
1田園調布学園大学子ども未来学部こども未来学科
pp.412-418
発行日 2017年6月25日
Published Date 2017/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200754
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「わかる」とは何か
教育学における新たな視座
「わざ言語」とは,これからお話しする教育哲学の研究から私が考えた概念です。初めてお目にする方もいるかと思いますが,看護の世界では,すでに「わざ言語」と呼ぶことのできる事例がたくさんありますし,私にとっても看護や助産の世界は,研究上の大きな対象の1つです。看護における「わざ言語」では,ヘンダーソンの「皮膚の内側に入り込む」という表現が代表的でしょう。このような,決して説明的ではないけれども,学びになんらかの影響を与える言葉を「わざ言語」と呼び,研究を進めてきました。まずは,こうした「わざ言語」を研究するまでの,私の研究的関心の流れについてお話しします。
私の専門は教育学,狭くいうならば教育哲学です。一般的に教育学というと,学校教育において教師がどのような教え方をすればいちばん効果があるのか,効率よく教えられるのか,という議論が中心的な問題になってきました。
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