特集 拘束時の心理的ケア―私たちはこうしています
患者さんと看護師 双方に必要な心理的アフターケア
河内 俊二
1
1静岡県立大学看護学部看護学科
pp.15-19
発行日 2011年9月15日
Published Date 2011/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100909
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拘束というトラウマは医療不信を招く
「隔離拘束を最小化する」というと、期間や人数を減らすことのようにとらえがちですが、もう1つの重要な視点は、それに伴う心のダメージを最小化するということだと思います。隔離拘束は、他者によって強制的に自由を剥奪される体験であるがゆえに、トラウマを残す可能性があり、実際に身体拘束を経験した患者さんは、強い衝撃を受けた際の特徴的な心理状態である「生存者の罪悪感」(サバイバーズ・ギルト)に似た感情を抱いていたという報告もあります*1。
もし、トラウマへのケアがおこなわれず、患者さんが医療者への信頼感を失ったまま退院するとしたら、通院や服薬を中断し、再発を招きやすい状態になることは容易に想像できます。そして、医療者に不信感が向けられたまま再び医療につながったとき、相互不信となり、隔離拘束の長期化を招く要因になるかもしれません。
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