研究調査報告
排便の表現方法の統一を図るための教育の検討
橋本 博美
1
,
小森 照美
1
,
大前 晴美
1
,
末続 なつ江
1
,
永田 英樹
1
,
井上 眞人
2,3
,
黒川 淳一
2,3
1医療法人桜桂会犬山病院看護部看護師
2医療法人桜桂会犬山病院精神科
3岐阜大学大学院医学系研究科
pp.90-94
発行日 2011年1月15日
Published Date 2011/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100793
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はじめに
筆者らが勤務する病棟は、病院のなかでも高齢で内科疾患の合併症を持つ患者が多く、排泄は主にオムツ内でおこなわれている。
便の観察は「性状」と共に「量」を表現しているが、これらは観察者の主観によるもので、何らかのスケールを使用しているわけではない。毎日「多量の排便あり」と判断されていたにもかかわらず、イレウス、便秘などに陥った事例もあり、このような不確実な報告の様子に対して、筆者らは観察・表現方法について疑問を呈する場面がしばしばあった。
そこで、排便の形状やオムツ内での便の様子に関したスケールを過去の文献に探したが、筆者らが検索した範囲ではほとんど見当たらなかった。そこから、観察者が判断する指標となるものが乏しい状態にあることがうかがわれた。
高齢かつ基礎疾患のため自発的な訴えが乏しい患者の言動から、直接、排便にまつわる情報を得ることは困難な場合が多い。多くの介助を要する患者の身体状況を把握するには、観察者全員が同じ尺度を共有することが大切なのではないかと考えた。
そこで、観察時の便の表現について統一を図るため、便の「性状」と「量」についてのモデルの作成を試み、職員教育をおこなった。さらにオムツ内(尿パット内)に排便された場合の便のくずれ方を再現したモデルを作成し、これも職員に示した。この教育により表現方法の統一が図られるかを検討する機会を得たので以下に報告する。
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