連載 「身体と薬」をめぐる見逃せない情報・4
精神科の誤嚥性肺炎、これが新常識―抗精神病薬とサブスタンスPに注目
長嶺 敬彦
1
1清和会吉南病院・内科
pp.94-103
発行日 2008年7月15日
Published Date 2008/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100530
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精神科で誤嚥性肺炎が多いのはわかっていたが……
誤嚥性肺炎は精神科では比較的頻度が高い身体合併症です。しかし精神科の臨床で遭遇する誤嚥性肺炎の大多数は、明らかな誤嚥のエピソードをもちません。食事中に激しく咳き込む様子がみられ、そのあと肺炎を発症するといったケースが精神科では少ないのです。むしろ明らかな誤嚥の徴候がなく、発熱を契機に胸部レントゲン撮影や血液検査を行なうと、浸潤影や著しいCRPの上昇がみつかり、肺炎と診断される症例が多くあります。これは「不顕性誤嚥」(silent aspiration)によるものと考えられます。
「不顕性誤嚥」とは、気道に異物が入っても防御する機構がはたらかず、むせたり咳き込んだりしないタイプの誤嚥のことです。自覚的にも他覚的にも把握しにくいので臨床上大きな問題になります。
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