連載 宮子あずさのサイキア=トリップ・60
死ぬも生きるも便との闘い
宮子 あずさ
1
1東京厚生年金病院
pp.96-97
発行日 2007年11月15日
Published Date 2007/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100464
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精神科患者さんの便
精神科で使う薬には、副作用が便秘という薬が少なくありません。多くの薬剤が使われる急性期には、便通を確認し、コントロールすることが重要なケアになる。――なぁんて話は、皆さんよくご存じですよね。このように、普通でも便秘に傾きがちな患者さんです。これが元から便へのこだわりが強い患者さんだったら、いったいどうなっちゃうんでしょう。
少し前にかかわった40代の女性は、摘便が止まらない人でした。摘便は、人にさせるのではなく、自分でする。彼女は10代の頃から、自分で摘便をしてきたらしいのです。本人の主訴は「お腹が変」。摘便をすることそのものは彼女にとって普通の行動なので、やめたいとは思っていません。それでも客観的に見れば、摘便のしすぎで生活がまわらなくなっている。そのため、同居している家族が困り果てて入院させたのでした。
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