連載 技法=以前・2
「人」と「問題」を分ける
向谷地 生良
1,2
1浦河べてるの家
2北海道医療大学
pp.77-85
発行日 2007年5月15日
Published Date 2007/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100404
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1 「生きる知恵」としての外在化
〈幻聴さん〉と名づけることの意味
べてるの家のメンバーが悩みや苦労を語りあうなかで、「外在化」という言葉が最近よく登場する。外在化とは一言でいえば、「人」と、その人がかかえる「問題」を分けてとらえる知恵、である。そのことを象徴する有名な言葉に「人が問題なのではない。問題が問題なのだ」★1がある。
さらにべてるの家では、単に分けるだけではなく、問題そのものにユニークな脚色をほどこし、その人自身と対等な存在として扱おうとする。例えば、忌まわしい幻聴を〈幻聴さん〉と呼び、人の行動に否定的な影響を与える認知や思考を〈お客さん〉と呼んだりする。
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