連載 あなたがエビデンスを生み出す! 臨床看護研究の骨と肝(2)
よい研究になるかならないかを分ける「お作法」
川口 孝泰
1
1筑波大学医学専門学群看護医療科学類
pp.806-809
発行日 2004年8月1日
Published Date 2004/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100512
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看護学の発展は臨床研究にかかっている !
私が看護研究に携わってから20余年経ちます.その間には,多くの看護研究と巡り会い,とくに臨床家たちの看護研究発表会に参加するなかで,私は多くのことを学びました.きっとこの20余年間で1000を越えるほどの臨床看護研究に触れてきたと思います.なかには,嫌々まとめた(まとめさせられた?)もの,一所懸命取り組んだが空中分解してしまったもの,妙に形式にはまっていて,きれいにまとまりすぎているもの―いろいろありました.
しかし,そのような発表のなかには,私の研究心を沸き立たせてくれるエネルギーを持っているものがありました.たいていの場合,それは荒削りで,決して研究の形式にピッタリとはまっているわけではありません.ですが,それらは,臨床家(=研究者)が,現場でつかんだ事実から得た実証的なデータを真摯にまとめて,リアルな臨床の実態をあぶり出し,未知の科学を彷彿とさせ,ワクワクするようなヒント(仮説)を感じさせてくれるものでした.私は,そのような研究は,看護学の発展に欠かせない臨床知の「原石」と感じています.その原石を見つけ出す大事な過程が,臨床看護研究にはあるのです.
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