連載 宮子あずさのサイキア=トリップ・55
「枠」もってますか?
宮子 あずさ
1
1東京厚生年金病院
pp.116-117
発行日 2007年1月15日
Published Date 2007/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100389
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リミット・セッティングという考え方
精神科での勤務も10年を超えました。緩和ケア病棟を兼務する今は、精神科病棟で過ごす時間はわずかになっています。それでも、自分が今さまざまな物事について考え、判断を下す際、この精神科で培った感覚が非常に本質的な役割を果たしている。これは確かなことです。
特に役に立っているのが、「リミット・セッティング」という考え方です。この役割と意味を教えてくれたのは、私と同年代のある重症神経症の女性でした。彼女は、母子葛藤をベースに家庭内で激しい暴力を繰り返しています。私が知っているだけでも数回は入院してきましたが、行動化がひどく閉鎖病棟に転送したときもありました。ここ数年は、閉鎖病棟での長期入院を反復し、入院受け入れの機会はぐっと減っています。
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