実は身近な“看護倫理”―精神科の現場で出会うジレンマを倫理の切り口からみてみよう

倫理的問題が生じているときは必ず価値の対立が起きている

　“倫理”という言葉を聞いただけで、アレルギー反応を起こす人は少なくないと思う。「なんだか難しそう」「正しいことを一方的に押し付けられそう」「どうせ答えは決まっているんでしょう」など。実は私もそうであった。

　しかし、いろいろなきっかけから私は倫理という学問分野に出会い、研究をはじめることになった。すると意外にも、精神科の現場で出会う問題の多くが、実は倫理の切り口から考えられるということに気がついたのである。