遺伝医療ってなに?・2
遺伝医療と倫理ジレンマ
櫻井 晃洋
1
1札幌医科大学医学部遺伝医学
pp.192-193
発行日 2015年2月15日
Published Date 2015/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542200243
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いきなりフリージャーナリストのような書き出しで恐縮だが,筆者はこの原稿を浜松市で開催中の日本生命倫理学会年次大会の会場で書いている.初めて参加した学会で,もとより会員でもないのだが,“生命倫理の専門分化と全体像”という公募シンポジウムのシンポジストとして,遺伝医療現場における倫理ジレンマの現状を紹介した.何か具体的に抱くべき理念を示せたわけでもないし,可能な解決策を提示できたわけでもない.ただ現状を紹介しただけである.しかしながら発表後の総合討論ではいくつかの貴重な質問をいただき,問題提起にはなったのかと少し安心した次第である.この学術集会では生殖医療や再生医療における生命倫理問題のほか,研究者倫理(最近は残念なことに“不正”という言葉とセットで語られることが多い)や終末期・介護における倫理問題,倫理審査委員会のあり方,さらにはロボットとの共生にかかわる倫理的問題など,多彩なテーマで発表と討論が行われていた.普段出席する学会はそのほとんどが医療関係者という同じアタマ(思考回路)をもつ者の集まりだが,こうした医療,法学,社会学などさまざまな学際領域の人たちが集まる集会は大変勉強になったし,たこつぼ型のコミュニケーションワールドにとどまっている自分を反省もした.
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