特集2 入院時こそ濃厚なかかわりを
「超急性期は刺激を遮断する」への疑問―入院時看護面接の試み
高橋 直美
1
1国立精神・神経センター武蔵病院
pp.60-70
発行日 2007年3月15日
Published Date 2007/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100362
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「殺される!!」と抵抗した患者さん――
衝撃的だった入院時の光景
精神科で働きはじめて4年が経とうとする春、それまで急性期開放病棟で働いていた私は、急性期閉鎖病棟で約3週間実習を行なう機会を得ました。
この実習中、私の看護師経験のなかで最も衝撃的な光景を目にすることになりました。それは措置入院の患者さんの入院受けに立ち会ったときのことです。
「殺される!!」。そう患者さんに言われたことを今でもはっきり覚えています。目の前で複数の病棟スタッフに抱えられ、抵抗しながら叫ぶ患者さんを前に、私の身体は全く動かなくなっていました。そして気がつくと、スタッフに促されるまま彼女の手を押さえ、「ごめんね、ごめんね」と繰り返し、必死に涙をこらえていました。その日は1日、「何が起きたのだろう」と考え続けていました。あの患者さんが感じていただろう恐怖、悲しみ、絶望などが、私のなかにも流れ込んでいました。しかしそのことに対して何もできない自分が情けなく、恥ずかしく、心のなかで何度も詫びていました。
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