連載 これで患者さんに説明できる。精神科薬の“薬理学的リクツ”・1
「睡眠薬」ってどういうもの?
姫井 昭男
1,2
1大阪医科大学神経精神医学教室
2大阪精神医学研究所新阿武山クリニック
pp.100-114
発行日 2006年7月1日
Published Date 2006/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100291
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現代社会は「眠らない社会」といわれます。昼夜を問わず命を守るという観点から医療の世界では早くからシフト勤務体制がとられてきましたが、この30年ほどで労働の体系は大きく変化し、医療以外の分野でも24時間働くという行為が一般的になりました。さらにコンビニエンスストアや世界中を結ぶインターネットなどが生み出したボーダレス社会は、真夜中に眠らないで何かをするという行為を加速させました。「仕事で眠らない」ことが原因で睡眠障害を引き起こすことは容易に理解できるのですが、「自らの意思で眠らない」ことも将来的には睡眠障害を引き起こす原因となりますので、若い世代の自由気ままなライフスタイルには警鐘が必要です。ある調査では、近年「不眠」を経験する成人が徐々に増加しているといい、5人に1人が不眠を経験しているという異常な事態にあります。
精神科・心療内科にかかる外来患者さんの多くは不眠を訴え、精神科に入院している患者さんのほとんどは就眠前に何らかの投薬を受けて不眠を防ぎます。精神科医療と睡眠の問題はセットといっても過言ではないでしょう。看護師さんは夜勤のときに患者さんの不眠に対してアセスメントや対応に迫られることがあると思いますし、ご自身がシフト勤務体制の影響で睡眠障害を経験しているという人もいると思います。ぜひ本稿で不眠とその治療に対する考え方を身につけてください。
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