焦点 耳の聞こえない精神障害者のケアから見えてくるもの
―〈陽和病院+琵琶湖病院〉―聴覚障害をもつ精神障害者に「聞こえの保障」を試みて―コミュニケーションの保障がこんなにも人を変えるのか
西川 健一
1
1琵琶湖病院
pp.71-73
発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100266
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コミュニケーションの保障がこんなにも人を変えるのか
西川健一
私は学生時代から聴覚障害をもつ方々とのかかわりをもっていました。ですので,地域に暮らす聴覚障害の方々の生活について少しはイメージがもてていたように思います。また,聴覚障害者の福祉施設やろう学校にも出入りさせていただいていたこともあって,知的障害やその他の障害を併せもつ方々の生活のしづらさも垣間見ていました。
当時,私が出会っていた聴覚障害をもつ方々には,その方のもつ言葉でやりとりをする誰かが周りに存在していました。それは最も身近な家族であったり,もしくは家庭のなかに同じ言葉をもつ誰かがいなくても,外に出て聴覚障害者協会・難聴協会などの障害者団体や手話サークルなどに行けば仲間がたくさん存在する。だから,なんとなく私のなかには「聞こえない人にはどこかに安心して話のできる人,仲間がいるもの」という思いがありました。
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