焦点 耳の聞こえない精神障害者のケアから見えてくるもの
―〈琵琶湖病院〉―日本で初めて「聴覚障害者外来」を開設して
藤田 保
1
1琵琶湖病院
pp.74-76
発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100267
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聴覚障害をもつ精神疾患患者の専門外来
院内ばかりではなく聴覚障害者福祉などの関係機関や職員らの協力も得て,1993年4月に琵琶湖病院で聴覚障害者外来が開設された。事前に病院職員や担当スタッフに学習を促したものの,理解が困難でコミュニケーション手段が多様な聴覚障害をもつ患者さん(以下,聴障患者と略す)に適切に対応して医療を円滑に提供できるかどうか不安があった。そしてその前に,この外来の存在を聴覚障害をもつ人たちにいかに周知させるかという課題があった。一般に,聴覚障害者は社会的にも情報取得に困難が生じるので,医療を考える際も,ここから始める必要がある。
聴覚障害者は不足する聴覚情報を視覚的に補うので,新聞,雑誌などの活字メディアやインターネットなどを利用すると,彼らにアクセスしやすいと思われる。そこで,この外来のことを新聞や雑誌などで取り上げてもらえないものかと考えていたが,こちらが動くまでもなく,新聞,雑誌,テレビなどの報道機関が当外来を取材に訪れた。どこで聞きつけたのかわからないが,日本で初めて手話で診察をする,という点がニュースや話題になるということであった。
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