焦点 耳の聞こえない精神障害者のケアから見えてくるもの
―〈陽和病院+琵琶湖病院〉―聴覚障害をもつ精神障害者に「聞こえの保障」を試みて―聞こえに障害がある患者さんは幼い頃の私
大塚 淳子
1,2
1元:陽和病院
2現:こころのクリニック石神井
pp.68-71
発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100265
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聞こえに障害がある患者さんは幼い頃の私
大塚淳子
私は幼い頃,言語獲得期に海外で暮らしていたために,小学校入学と同時に帰国した後2年間にわたり日本語が話せない期間を過ごし,不登校気味になりながらもなんとか通ったつらい思い出があります。幼かった私は,言葉の違いだけでなく文化の違いも合わせて感じ取っていたようです。言語や異文化に関心をもつ原点は,この体験にあるといえます。
身体障害者の授産施設で勤めているときに聴覚障害者の方と出会い,手話が使えずに苦労をし,夜間手話講習会に通い始めましたが挫折してしまいました。また,先天性ろう啞者と中途失聴者と一緒に海外旅行をした経験がありましたが,お2人に対し1人の通訳しかつかなかったことで,大変に不自由されたのを目の当たりにして,聴力障害の度合いや障害の発生時期によってコミュニケーションの方法やあり方が違うのだと知りました。
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