一頁講座 社会リハビリテーション・4
障害者の所得保障
高藤 昭
1
1法政大学
pp.555
発行日 1982年5月10日
Published Date 1982/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104760
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1.障害者の所得保障の理念と現実
福祉国家として,心身に障害があるがゆえに健常者なみの稼得や活動ができない障害者保障の理念を求めるとすれば,それは昨1981年の国際障害者年がテーマとしてかかげた「完全参加と平等」につきるであろう.この理念は単に障害者年にあたっての思いつき的なスローガンではなく,将来にわたってつらぬかれるべき重みと深みをもったものと思われる.
「完全参加」とは,社会生活,社会の発展への完全参加であり,「平等」とは,他の市民の生活条件およびその改善の平等な配分であるが,これを実現するためには,障害者に健常者と同様の自立した社会生活,社会活動を保障することが基本となろう.そして,そのためには社会リハビリテーションの重要性はもとよりであるが,ともかくもまず,自立を経済面で可能とするに十分な所得保障制度を確立しておくことが前提条件である.
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