連載 精神看護キーワード事典・1【新連載】
アスペルガー障害―長崎児童殺傷事件の母子
萱間 真美
1
,
栗田 広
2
1聖路加護大学・精神看護学
2東京大学院医学系研究科・精神保健学分野
pp.76-79
発行日 2004年5月1日
Published Date 2004/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100225
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精神看護の現場にあるあなたへ
あなたが精神科の看護師をしているということは,意外と周囲に知られているものだ。心の病や,多くのショッキングな事件があふれる今日,あなたの身近で悩んでいる人もまた多いだろう。
子どもの学校のPTAや保護者会に,何とか都合をつけて出席したあなたに,隣に座った保護者が話しかける。「お仕事をしていらっしゃるんですよね? どんなお仕事ですか?」「看護師をしています」「あら大変ですね。何科ですか?」「精神科です」。ここで会話が終わる場合もある。が,その場や夜になってかかってくる電話で相談を持ちかけられることがある。「昼間学校でお目にかかった萱間です。ごめんなさい,突然お電話しちゃって。あの,精神科の看護師さんをしていらっしゃるんですよね? 実は,私の親しい友達のお父さんが痴呆症になっちゃって……」。話を聞いているうちに,病状の説明がとても詳しく,おそらくこれは親しい友達の父親ではなく,この人自身の父親のことなのだろうと思い当たるが,精神科の看護師としてはそこには触れず,延々と続く話を聞いてあげることになる……。独身のあなたなら,友人の友人がリストカットをした,友人が拒食で困っているという相談が持ちかけられるかもしれない。
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