特集 災害と病院
【災害発生~そのとき現場は】
秋葉原無差別殺傷事件
布施 明
1
,
横田 裕行
1
1日本医科大学付属病院 高度救命救急センター
キーワード:
秋葉原無差別殺傷事件
,
東京DMAT
,
トリアージ
Keyword:
秋葉原無差別殺傷事件
,
東京DMAT
,
トリアージ
pp.440-442
発行日 2010年6月1日
Published Date 2010/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101708
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
「DMAT要請,千代田区外神田4-1,ソフマップ電気店の近く.刃物で3人が刺された模様.詳細不明」.2008年6月8日午後12時43分,当院の高度救命救急センター内に設置されたホットラインが鳴り,後に言う「秋葉原無差別殺傷事件」の第一報が当病院にもたらされた.日曜の昼下がり,医療スタッフは病棟でオーダーを書き,処置を行い,都内で開催されていた学会での発表準備をしていた.出動要請のホットラインに尋常ではないものを感じとった3人のスタッフがすぐさまドクターカーに向かい,要請から4分後,東京DMATとして現場へ向かうために病院を発った.12時55分,現場に到着したところ,最先着したA救急隊は必死にトリアージを行っていた.日曜の秋葉原の中心街で,歩行者天国(当時)となっていた路上は人,人,人でごった返していた.その真っ只中に,3人は飛び込んでいくことになる.
以上が秋葉原無差別殺傷事件の初動である.当施設は本事案に対し,①東京DMATとして出動し,現地医療活動を行った.②同事案の2人の負傷者を当施設へ受け入れ,治療を行った.③東京消防庁災害救急情報センターに救急隊指導医として勤務していた当施設医師が,同事案に対してセンター内で助言を行った.
本稿では本事案の当施設における経過を概説し,「事件」に対する医療機関の対応について考察する.
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.